10周年を迎えたAwesome City Clubが活動休止。 前向きな活動休止であることは分かっている。それでも、じんわりと寂しい。

2026年1月29日にLIQUIDROOMで行われるツアーファイナルのチケットは、前もって取ってあった。 10年間、熱心に活動を追えていない時期もあったけれど、そろそろAwesomeの音楽を浴びたいと、ちょうど思っていたタイミングだった。

マグカップを買おう

Instagramを見ているとツアーグッズが発表されていた。Awesomeのグッズはいつも可愛い。

節目となる今回、記念に選んだのはTシャツでもキーホルダーでもなく、マグカップだった。 以前『ceremony』がリリースされたタイミングでロゴ入りのグラスを購入したことがあったけれど、 手に取るたび、日常の中でAwesomeを思い出せるものをまたひとつ増やしたかったのだ。

私にとってAwesome City Clubは、非日常を与えてくれるバンドではなく、いつしか日常に寄り添ってくれるバンドとなっていた。

Awesome City Clubってどんなバンド?

そもそもAwesome City Clubは「架空の街のサウンドトラックを作る」というコンセプトのバンド。 一般的には「日常」の印象はないかもしれない。

初期のヒットソングは「今夜だけ間違いじゃないことにしてあげる」。カラオケでもよく歌ったからたぶんみんな知ってる。ナイトライフがテーマで、都会的で新しいバンドというイメージがついていたような気がする。

そして2021年に紅白歌合戦でも披露された「勿忘」。映画「花束みたいな恋をした」のインスパイアソングとして、「花束みたいな恋」について歌っている。このニュアンスはこの言い回しでしか表現できない…!伝わってほしい。

キラキラと走り続けてくれる存在

2015年にデビューし、特に最初の数年は半年〜1年のペースでコンスタントにアルバムをリリースしていたAwesome。 同じく2015年に社会人を始めた私は勝手に彼らのことを「同期」だと思っている。 自分の仕事がつらい時期にも「Awesomeが全力で走っている」ことに同期として元気をもらっていた。 こんなに洗練された曲を作っているのに活動の仕方が運動部みたいにマッチョだなと思っていた。

そういった精力的な活動スタンスや、『GOLD』や『ダンシングファイター』、『On Your Mark』などの楽曲に反映されるような、自分を信じて進んでいく、野心や推進力、力強さも当時の私にはすごく頼もしく感じられていた。

一方で、軽やかに踊るような煌めく一面や、繊細に人の心の機微を救いとるような一面、愛する人と向き合う内省的かつ覚悟をもった一面。 いろいろな面を私たちに見せてくれていたし、それぞれの軸で成熟していく彼らの楽曲には毎回新しい気づきや感性をもらい、楽しませてもらっていた。

まじめで繊細に人と向き合っているatagiさんの感性がすごく素敵だと思っていたし、フロントマン然とせずPORINちゃんやモリシー、かつてのメンバー達とともにチームで動いている姿もかっこいいと思っていた。

私には曲をつくる才能なんてないけど、もし自分がつくるなら、Awesomeみたいな曲をつくりたいと思っていた。それくらい、このバンドのあり方に共感していた。

「日常」を抱きしめる

時を経て2021年。 「幕開けからもう5年経ち見渡せば新世界」だ。 (2020年『Okey dokey』より) 新しいAwesomeが始まった。

このタイミング以降でリリースされた『ceremony』や『you』、『color』といった楽曲たちは、穏やかな愛に溢れていた。 目の前に広がる日常の幸せを抱きしめるような、良い意味で「満たされた」世界観だった。

力強く進むこと、煌めくこと、向き合うことを経て、さりげない愛の形にたどり着いていた。 街と、人と、自分と、愛する人と向き合ったAwesomeが、肩の力が抜けたように、日常を見つめることに価値を置いたこと。 それは私にとってはすごくしっくり来ることで、嬉しいことだった。

オーサムシティは架空の街だけど、そこに流れる手ざわりやあたたかさは、間違いなく私たちの日常と地続きにあるものだ。

充電期間

日常を愛することにたどり着いたAwesomeが、次に選んだのは充電期間だった。 これもまた等身大の決断だと思った。 人生にも、バンドにも、そうした余白がたぶん必要だ。

10年走り続けてきたんだ。本当にお疲れ様と伝えたい。

休止前ラストのライブでは、Awesome City Clubが描いてきたこの10年を、自分自身と重ねながら、受け止めたいと思う。 そして彼らの音楽と魂を、マグカップとともに日常の中でそっと感じていきたい。

【Pick Up】

『ceremony』
「ずっと続いていったら良いな」と思える日常が目の前にあるということを抱きしめるような楽曲。

『僕らはこの街と生きていく』
「Awesomeらしさ」はatagiさんが担っているものと思っていたけれど、この曲の作詞はPORINちゃん。Awesomeの煌びやかな面を担う歌詞が多かったPORINちゃんから、このAwesomeの真髄のような世界観が出てきたことに正直驚いた。ちゃんとAwesomeと溶け合っていたんだな、とじんわり。

『Around The World』
2016年にリリースされた大好きな楽曲。広い世界の中で幸せを探すAwesomeらしい歌詞が沁みる。 都会の中で懸命に生きる人の体温を感じる。